医用画像の急速な発達により、生体内の形態や機能の高度な情報を in vivoで得ることが可能となってきている。さらに医用画像と数値シミュレーションを組み合わせることにより、手術後の状態や病状の進行状態を予測することが可能になると考えられる。
数値シミュレーションを行うためには、CT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)などの医用画像から血管の3次元形状や中心線を得ることが必要で、一般的には商用のモデリングソフトウェアを用いて作成する。
しかし、この作業は非常に手間がかかり、作業者によって作成した形状にばらつきが生じやすい、という問題がある。また、複数の医用画像から得られた3次元形状を定量的に比較する場合、商用のモデリングソフトウェアでは難しいケースが多々生ずる。
以上の経緯から、本研究室では血管の3次元形状モデリングシステム(V-Modeler)の研究開発を行っている。
上図は、脳動脈瘤の3次元形状モデリングを行っているV-ModelerのGUI画面を示している。
インタラクティブなGUI、3次元形状作成工程の効率化と結果の再現性、中心線を利用した血管形状のパラメータ化、血流シミュレーションのための血管形状作成と計測、等の機能を実装している。
参考文献
[1] 小林匡治,佐藤洋一,大島まり”医用画像からの血管の3次元形状モデリングの研究開発”
生産研究 64巻3号 pp.319-322(2012) [2] 小林匡治,佐藤洋一,早川基治,大島まり,
心電同期再構成320列面検出器CT画像を用いた血管壁面トラッキングと血管の材料特性推定に関する研究開発,
第23回バイオエンジニアリング講演会講演論文集,2012,89-90